世界は有限 ・・・
浜本:『本日は、どうぞよろしくお願いいたします。まず最初にお伺いしたいことは、「持続可能な社会の実現」というテーマについて、淡輪さんが今、お考えになっていること、どのような視点でこの世界を見つめていらっしゃるかをお伺いしたいと思います。』
淡輪:『考えの原点には「世界が有限である」という認識があります。私が学生だった頃は、バブルが始まる前であり、日本がグローバル経済に組み込まれる前でした。私には、その頃の世界は無限であるかのように感じられました。
しかし、地球温暖化が世界的な課題になり、京都議定書が議決された時に、もう世界は互いにリンクした有限の世界なのだと強く意識するようになりました。閉じた世界として、複雑な系として、一つのことが他のものにどのような影響を与えるのかを知ること、つまり「地球をシミュレートする」ことの緊急性を強烈に感じました。
また一方で、インターネットや情報技術のイノベーションのインパクトの大きさにも驚愕しました。例えば、今ではアフガニスタンの状況やハイチでの地震の被害なども、興味さえあれば生でリアルタイムの情報を容易に手にいれることができます。
資源にしても、人々の生活にしても、地球に関する限り、深海や地核などを除けば、未知のものはどんどんなくなっていきます。つまり世界の中から「白地の地図」が大方消えてしまいました。それだけ新しい情報技術によって、世界が結ばれて、一つの市場のように捉えることができるようになったのです。
しかし、今でもビジネスの世界では、まるで市場が無限であるかのような過去の仕組みで回っています。売り上げと利益の成長性を評価する物差しで動いています。
でも、世界が有限であるのに個々のビジネスが成長し続けることはできません。そして、その有限な世界では、それぞれの人間が自分のしたいように成長を求めて全力で走れば、個人としては幸せかもしれませんが、地球全体としては大変困った状況に陥ることになってしまいます。
例えば、有限な地球資源を使っている自動車産業をみてみましょう。動力源が石油から電気へと急速にシフトし始めています。ただし、電池のイノベーションや、給電のインフラの構築など、まだまだ時間がかかります。
一方で中国やインドなどの新興国では、日本の高度成長時代と同じで、車を持ちたいという中流層が急速に台頭してきて、その人数は桁違いに大きいです。そうすると、まずは石油や様々な資源が足りなくなり、値段も急速に上がってしまいます。でも誰も止められません。
自動車会社はこの流れに乗って、新興国で車を売りまくらないと、利益も上がらないし、株価も上がらず、設備投資もできないので、今までの戦いが続いてしまいます。その結果は、資源も地球環境も長くは持ちません。人類の不幸に繋がってしまいます。
これはまるで、江戸時代に鎖国していた時の日本のような状況です。当分、私たちは地球から出て他の惑星に行くのは不可能です。したがって、江戸時代の日本が、今の地球の状況と考えたらよいでしょう。』
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